海の中で、立派なイセエビを見つけたブリントとげそ丸。
「エビなのに、大きなハサミがないブリ?」
ブリントが不思議そうに眺めていると、大きな魚が近づいてきました。
その瞬間、イセエビが長い触角を動かして――
「ギー! ギー!」
海の中に不思議な音が響きます。

イセエビには大きなハサミがない
イセエビはエビやカニと同じ甲殻類の仲間です。
しかし、ロブスターやザリガニのような大きなハサミは持っていません。その代わり、体には鋭いトゲがあり、前方には体よりも長くなる丈夫な触角があります。
この長い触角は、周囲の様子を感じ取るだけでなく、敵から身を守るためにも使われます。
イセエビは本当に鳴くの?
イセエビが「ギーギー」と音を出すのは本当です。
ただし、人間や魚のように口や喉から声を出しているわけではありません。イセエビは触角の付け根にある「鳴音器」を使って、摩擦音を発生させています。
実際にイセエビの水中音を記録し、活動を調べる研究も行われています。
音を出す鳴音器の仕組み
音を出す場所は、第2触角の付け根にあります。
そこには、柔らかい組織でできた「プレクトラム」と、頭部側にある「ファイル」という部分があります。
イセエビが触角を動かすと、この2つがこすれ合います。そのときに「くっつく・滑る」という動きが細かく繰り返され、「ギー」という音が発生します。
この仕組みは「スティック・スリップ」と呼ばれ、バイオリンの弓と弦が音を出す仕組みにも似ています。
なぜ音を出すの?
イセエビの音は、主に敵から身を守るために使われると考えられています。
魚などの外敵に襲われたり、触角をつかまれたりすると、突然大きな摩擦音を出します。驚いた敵が一瞬動きを止めれば、その隙に岩陰へ逃げられるかもしれません。
長くてトゲのある触角と大きな音は、イセエビにとって大切な防御手段なのです。
「鳴く」という表現でいいの?
漫画や水族館の解説では、分かりやすく「イセエビが鳴く」と表現されることがあります。
科学的には、口から鳴き声を出すのではなく、鳴音器をこすって摩擦音を出しているという説明が正確です。
つまり、イセエビは「声で鳴く」というよりも、「触角を使って音を鳴らす」生き物なのです。
まとめ
イセエビには大きなハサミがありませんが、長く丈夫な触角とトゲのある体を持っています。
さらに、第2触角の付け根にある鳴音器をこすり、「ギーギー」という音を出すことができます。この音は、近づいてきた敵を驚かせる防御音だと考えられています。
海の中は静かに見えても、生き物たちはさまざまな方法で音を使っているのですね。
ブリントの一言
「ボクもヒレをこすれば鳴けると思ったけど、服がこすれただけだったブリ〜!」


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