横に大きく広がった、シュモクザメの不思議な頭。英語名の「ハンマーヘッドシャーク」のとおり、まるでハンマーのような形をしています。
でも、この形は目立つための飾りではありません。獲物を探し、周囲を見渡し、水中で素早く向きを変えるために役立つ可能性があります。

ハンマー形の頭には名前がある
シュモクザメの横に広がった頭は、頭翼(とうよく)、英語では cephalofoil(セファロフォイル) と呼ばれます。
「なぜこの形に進化したのか」については一つの理由だけで説明できるわけではありません。現在は、複数の利点が組み合わさった結果だと考えられています。
役割1:砂に隠れた獲物を探す
サメの頭部には、獲物の筋肉や心臓が生み出すごく弱い電気を感じるロレンチーニ器官があります。
シュモクザメでは、この電気感覚の受容器が幅広い頭に分布しています。そのため、海底の広い範囲を掃くように探索できます。行動実験では、シュモクザメ型の頭は一般的な形のサメより広い範囲を調べられる一方、感度そのものが犠牲にならないことが示されています。
砂の中に隠れて見えないエイなどを探すとき、この「生き物レーダー」が役立つと考えられています。
役割2:左右の目で広く見渡す
目はハンマー形の頭の両端近くにあります。一見すると正面が見えにくそうですが、視野を測定した研究では、調べられたシュモクザメ類は一般的な頭のサメより広い両眼視野を持つことが確認されました。
頭の幅が違えば、視野の広がり方も種によって異なります。「どのシュモクザメもまったく同じ見え方」ではありませんが、左右に離れた目は広い範囲の確認や奥行きの把握に役立つ可能性があります。
役割3:前方のかじとして曲がりやすくする
頭翼の流体力学を調べた研究では、水平に泳ぐだけで大きな揚力を生む「飛行機の翼」ではないことが示されました。
一方、頭の角度を変えると力が大きく変化するため、頭翼が前方のかじのように働き、急な上昇・下降や方向転換を助ける可能性があります。ただし抵抗も大きく、単純に「泳ぎを楽にする形」とはいえません。
ハンマーは獲物を押さえる道具にもなる?
大型のヒラシュモクザメが、幅広い頭でエイを海底へ押さえつけて捕食する行動も観察されています。頭翼は獲物を見つけるだけでなく、捕まえる場面でも利用されることがあるようです。
ただし、すべてのシュモクザメが同じ獲物を同じ方法で捕らえるわけではありません。種類や生活環境によって、頭の形と使い方には違いがあります。
ブリントのひとこと
「見る、探す、曲がる! ハンマー頭は海のマルチツールだったブリ!」
まとめ
- ハンマー形の頭は「頭翼(セファロフォイル)」と呼ばれる
- 電気感覚の受容器を広く配置し、海底の広い範囲を探せる
- 左右に離れた目によって、広い視野や両眼視野を得られる
- 頭の角度を変えることで、方向転換を助ける可能性がある
- 頭の役割は一つではなく、種類による違いもある
変わった形に見えるシュモクザメの頭には、海で生き抜くための複数の機能が詰まっていました。


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