大きな口を開け、鋭い歯を見せるウツボ。
その口へ、小さな青い魚が迷わず入っていきます。
ブリントは「食べられたブリー!!」と大慌て。しかし、小魚は襲われているのではありません。ウツボの口の中を掃除しているホンソメワケベラです。
今回は4コマ漫画と一緒に、海で見られる不思議な「クリーニング行動」を紹介します。

ウツボの口へ入るホンソメワケベラ
ホンソメワケベラは、青い体に黒い帯が走る細長い魚です。インド洋から太平洋のサンゴ礁などに生息し、ほかの魚についた小さな寄生虫などを食べます。
掃除する場所は体の表面だけではありません。相手が口やえらぶたを開けると、その中まで入って点検することがあります。
漫画ではウツボが大きな口を開けていますが、ホンソメワケベラは獲物ではなく、掃除をしてくれる相手として近づいています。
ブリント「食べられたと思ったブリ! あの口へ入るなんて勇気があるブリね!」
本当に「歯磨き」をしているの?
ホンソメワケベラの行動は、人間の歯磨きとは少し違います。
歯ブラシで歯を磨くのではなく、相手の体表、ひれ、えら、口の中などを調べ、そこにいる外部寄生虫や小さな食べ物の残りなどをついばみます。研究では、寄生虫のほかに粘液や鱗などを口にする場合も確認されています。
つまりホンソメワケベラにとって、掃除は食事でもあるのです。
- ウツボなどの大型魚:体についた寄生虫などを取り除いてもらえる
- ホンソメワケベラ:寄生虫などを食べ物として得られる
このように、異なる種類の生き物が互いに利益を得る関係を、一般に相利共生と呼びます。
「クリーニングステーション」とは
ホンソメワケベラは、サンゴ礁の決まった場所で掃除を行うことがあります。その場所はクリーニングステーションと呼ばれます。
掃除してほしい魚は、そこで動きを止めたり、体の向きを変えたり、口やえらぶたを開いたりします。ホンソメワケベラは相手の体を見回り、寄生虫などをついばんでいきます。
ホンソメワケベラが見せる独特の泳ぎ方も、「掃除をしますよ」と相手へ知らせる合図になると考えられています。
クリーニングステーションには、さまざまな種類や大きさの魚が訪れます。小さな魚が大きな魚のすぐそばで安全に作業する、サンゴ礁の小さなお店のような場所です。
なぜウツボはベラを食べないの?
ウツボは肉食魚ですが、掃除中のホンソメワケベラを必ず食べるわけではありません。
掃除してもらう魚は、口を開けたまま静止するなど、普段の捕食時とは異なる姿勢を取ります。ホンソメワケベラも特徴的な体色や動きで、自分が掃除魚であることを相手へ伝えます。
こうした合図と繰り返しのやり取りによって、掃除する側とされる側の関係が成り立っています。
ただし、ウツボが口を開けている場面がすべて掃除中とは限りません。ウツボは口を開閉して、えらへ水を送ることもあります。
ウツボ「食べてないぞ!」
ホンソメワケベラ「食べかすや寄生虫を食べているんだ!」
ホンソメワケベラの見分け方
ホンソメワケベラを探すときは、次の特徴に注目してみましょう。
- 細長く小さな体
- 青白い体色
- 口先から目を通り、尾まで続く黒い帯
- 大きな魚の体の周囲を細かく泳ぐ行動
地域や成長段階によって色の見え方は変わりますが、体を縦に走る黒い帯は分かりやすい特徴です。
まとめ
ホンソメワケベラは、大型魚の体表、えら、口の中などを調べ、寄生虫などを食べる海の掃除魚です。
ウツボの鋭い歯の間へ入る姿は危険そうに見えますが、掃除中は両者に利益のある特別な関係が成り立っています。
水族館や海の映像で、大きな魚が静かに口を開け、小さな魚が周りを泳いでいたら、クリーニング行動かもしれません。ぜひ魚同士のやり取りにも注目してみてください。
ブリントの一言
「怖い口でも、掃除中なら大切なお客さんブリ! 海には魚のお店もあるブリね!」


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