暗い深海を泳ぐ、大きなチョウチンアンコウ。
その近くにいる小さな魚は、子どもではありません。実は、メスを探して泳いできたオスです。
深海性チョウチンアンコウ類の一部では、小さなオスが大きなメスへ噛みつき、やがて皮膚や血管までつながることがあります。今回は、驚きの繁殖方法を4コマ漫画と一緒に紹介します。

オスはメスよりずっと小さい
深海性チョウチンアンコウ類では、メスとオスの大きさが大きく違う種類がいます。
大きな口や発光する疑似餌を持つメスに対し、オスはとても小さく、メスを見つけることが重要な役目です。広く暗い深海では、同じ種類の相手と出会う機会が多くありません。
せっかく見つけた相手を逃さないことが、変わった繁殖方法の進化につながったと考えられています。
ブリント「オス、小さすぎるブリ!?」
メスを見つけると噛みつく
オスはメスを見つけると、その体へ噛みついて付着します。
漫画では分かりやすくメスの腹部へ噛みつく様子を描いています。実際の付着位置は種類や個体によって異なり、腹部だけに限られるわけではありません。
また、すべてのチョウチンアンコウ類が永久に付着するわけでもありません。一時的に付着して離れる種類もいれば、生涯にわたって融合する種類もいます。
ブリント「プロポーズが強引すぎるブリ〜!」
皮膚と血管がつながって一体化
永久に付着する種類では、噛みついた部分の組織が融合し、やがてオスとメスの血液循環がつながります。
血管がつながったオスは、メスの血液から栄養を受け取るようになります。オスはメスの体に付いたまま、繁殖に必要な精子を提供します。この特殊な繁殖方法は「性的寄生」と呼ばれています。
ただし、「メスに取り込まれて完全に消える」という表現は正確ではありません。オスの体は小さくなり強く依存しますが、メスの体表に付着した個体として確認できます。
げそ丸「本当に体が一体化するゲソ!?」
なぜ相手の体を拒絶しないの?
普通なら、別の個体の組織が体内へ入り込むと、免疫系が異物として攻撃します。ところが、永久融合するチョウチンアンコウ類では、オスとメスの組織が拒絶されずにつながります。
遺伝子を調べた研究では、永久付着を行う系統で、獲得免疫に関係する遺伝子の一部が失われたり大きく変化したりしていることが示されています。
一方で、そのような魚が深海の病原体からどのように身を守っているのかは、まだ分かっていない部分があります。
一匹のメスに複数のオスが付くことも
種類によっては、一匹のメスへ複数の小さなオスが付着する例も知られています。
一度見つけた相手とつながっておけば、産卵の時期に再び広い深海を探し回る必要がありません。奇妙に見える一体化は、出会いが少ない環境で子孫を残すための方法なのです。
ブリント「一生くっつき虫ブリ!?」
チョウチンアンコウのオスとメスまとめ
- 一部の深海性チョウチンアンコウ類では、オスがメスより非常に小さい
- オスはメスを見つけると、体へ噛みついて付着する
- 永久付着する種類では、皮膚や血管がつながる
- オスはメスの血液から栄養を受け取り、繁殖に必要な精子を提供する
- 一時的に付着する種類や、付着しない種類もいる
- 「すべてのアンコウのオスがメスに吸収される」という説明は正確ではない
チョウチンアンコウの光る疑似餌だけでなく、オスとメスの大きさや繁殖方法にも注目すると、深海生物の不思議さをさらに楽しめます。


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